小話 2026/03/09 Mon 思い流せば #くれない 「本当に行くつもり?」 『ああ』 「その子を置いて?」 『…ああ』 続きを読む 「・・・・・・」 『まだ納得いかない、か?』 「当たり前でしょ。 なんであんたがそんなことしなきゃならないのよ」 『そうだなぁ。 でも、誰かが行かなきゃいけない』 「・・・」 『ただ…この子のことは少し心配だな。 あの人にも乳母にも、ちっとも懐かなくて… こうやって私が抱いていてやらないと、寝ないんだよ』 「将来…」 『ん?』 「将来、その子になんて説明するつもりなの? あんたの事」 『んー…あの人とも相談したんだが… 病で死んだことにしようと思うんだ。 今回の事は全て秘密裏に処理されるそうだし、 周囲に対しても、それが一番自然な言い訳だろうって』 「世間はそう信じるでしょうね。 でも、その子に対しても そんな嘘が本当に通用すると思ってるの?」 『・・・・・・』 「あんたも知ってるでしょう? その子、腹立つぐらい賢いわ。 おまけにマザコンだしね。あんたの事を忘れるもんですか。 知恵が付いてくれば、嘘の違和感にも気付く。 いくら周囲が口を閉ざしても… あの馬鹿の下手な嘘なんか、すぐにバレるに決まってる。 いつか必ず知ることになるわよ 自分の母親が、 何故 いなくなったのか」 『・・・・・・・』 「その時、その子がこの国を 呪うようなことにならなきゃいいわね。 今のわたしみたいに…」 『行くのか?』 「ええ。もうここには来ないわ」 『そう言うな。 たまには来て、この子の相手をしてやってくれないか?』 「………お断りよ。 さようなら、姉さん。 最後の最後まで、あんたは馬鹿ね。」 『さようなら、弟よ。 だが、何も後悔はないよ』 「…嘘ばっかり」 『ふふふふふ…』 『よしよし、私の可愛いぼうや。 おまえはいい子だ。 私がいなくても、ちゃんとねんねするんだぞ? たくさん食べて、大きくおなり。 父君のいう事をよくきいて 強い強い、男になっておくれ。 そして、いつかまた・・・』 『どんな形でもいい いつか、いつか必ず・・・ 私に会いに来ておくれ。』 畳む
#くれない
「本当に行くつもり?」
『ああ』
「その子を置いて?」
『…ああ』
「・・・・・・」
『まだ納得いかない、か?』
「当たり前でしょ。
なんであんたがそんなことしなきゃならないのよ」
『そうだなぁ。
でも、誰かが行かなきゃいけない』
「・・・」
『ただ…この子のことは少し心配だな。
あの人にも乳母にも、ちっとも懐かなくて…
こうやって私が抱いていてやらないと、寝ないんだよ』
「将来…」
『ん?』
「将来、その子になんて説明するつもりなの?
あんたの事」
『んー…あの人とも相談したんだが…
病で死んだことにしようと思うんだ。
今回の事は全て秘密裏に処理されるそうだし、
周囲に対しても、それが一番自然な言い訳だろうって』
「世間はそう信じるでしょうね。
でも、その子に対しても
そんな嘘が本当に通用すると思ってるの?」
『・・・・・・』
「あんたも知ってるでしょう?
その子、腹立つぐらい賢いわ。
おまけにマザコンだしね。あんたの事を忘れるもんですか。
知恵が付いてくれば、嘘の違和感にも気付く。
いくら周囲が口を閉ざしても…
あの馬鹿の下手な嘘なんか、すぐにバレるに決まってる。
いつか必ず知ることになるわよ
自分の母親が、
何故
いなくなったのか」
『・・・・・・・』
「その時、その子がこの国を
呪うようなことにならなきゃいいわね。
今のわたしみたいに…」
『行くのか?』
「ええ。もうここには来ないわ」
『そう言うな。
たまには来て、この子の相手をしてやってくれないか?』
「………お断りよ。
さようなら、姉さん。
最後の最後まで、あんたは馬鹿ね。」
『さようなら、弟よ。
だが、何も後悔はないよ』
「…嘘ばっかり」
『ふふふふふ…』
『よしよし、私の可愛いぼうや。
おまえはいい子だ。
私がいなくても、ちゃんとねんねするんだぞ?
たくさん食べて、大きくおなり。
父君のいう事をよくきいて
強い強い、男になっておくれ。
そして、いつかまた・・・』
『どんな形でもいい
いつか、いつか必ず・・・
私に会いに来ておくれ。』
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