バルムンク・シイ・オルテギア
#王と皇帝
#設定

・オルテギア帝国の先代皇帝。
ブラムド、ドレイクの父親であり、
十王【ウルスラグナ】の継承者だった人物。
継承者の証である『金の竜眼』を持つ。
・優秀なドラグーンの魔法使いであり
様々な魔法術式と術具を創り出した功績から
『稀代の天才』と呼ばれていた。
が、その名声に比例するように悪名高くもあり、
後世に『禁呪』として記されるような
問題ある魔法も数多く生み出している。
・人としてのモラルよりも己の知的好奇心を
優先してしまう傾向があり
その為なら人の命すら研究の為に『消費』する。
・目的の為なら手段を選ばない苛烈さと
大陸でも五本の指に入る魔法使いの実力、
そして十王継承者として立場から圧倒的な
カリスマ性を誇ったが同時に敵も多く作った。
敵にも味方にも畏怖と侮蔑を持って呼ばれた名は
【荒帝 バルムンク】
・この父親の強烈な個性が、息子であり、
現皇帝であるブラムドにとって
常にコンプレックスとなって付きまとっている。
------------------------------------
【生い立ち】
・赤子の頃、母親を病で亡くし
7歳の頃に父親であった皇帝が崩御
その後、皇位継承によって混乱に陥った帝国を
武力と知略を持って掌握した。
・この頃すでに魔法使いとしての才能を開花
させており、10歳の時に十王が覚醒。
・その高い頭脳と才能の犠牲になったのか
情緒面にかなり問題があり、
己自身のことにすら無頓着。
最も付き合いの長い友人(?)の
ラングドールいわく、「ありゃサイコパスだ。」
と言われるほど。
・近しい者から暗殺されかけたことも
一度や二度ではないらしいが、本人は至って
平然としている。
・ただその警戒心の表れなのか、他人が
近くにいる時は絶対に眠らない。
眠る時は十王を発現させ、十王に自分を
守らせながら眠る。
ひどい時は五日ぐらい平気で起きている。
異様なハイテンションになるのでかなり怖い。
・この不眠癖は、後に后となるクラウディアとの
出会いをきっかけに緩和していく。
彼女が近くにいる時のみ、何故か眠くなるらしい
(理由は本人にもよくわからない)
・十王はバルムンクが30歳を迎える頃に消失。
以来、消失前の最後に張られた
【十王の結界】が20年間、帝国を護っている。
この頃、長男のブラムドもまだ生まれて
いなかった為、バルムンクの子供たちは全員、
十王を見た事がない。
畳む
#王と皇帝
#設定

・オルテギア帝国の先代皇帝。
ブラムド、ドレイクの父親であり、
十王【ウルスラグナ】の継承者だった人物。
継承者の証である『金の竜眼』を持つ。
・優秀なドラグーンの魔法使いであり
様々な魔法術式と術具を創り出した功績から
『稀代の天才』と呼ばれていた。
が、その名声に比例するように悪名高くもあり、
後世に『禁呪』として記されるような
問題ある魔法も数多く生み出している。
・人としてのモラルよりも己の知的好奇心を
優先してしまう傾向があり
その為なら人の命すら研究の為に『消費』する。
・目的の為なら手段を選ばない苛烈さと
大陸でも五本の指に入る魔法使いの実力、
そして十王継承者として立場から圧倒的な
カリスマ性を誇ったが同時に敵も多く作った。
敵にも味方にも畏怖と侮蔑を持って呼ばれた名は
【荒帝 バルムンク】
・この父親の強烈な個性が、息子であり、
現皇帝であるブラムドにとって
常にコンプレックスとなって付きまとっている。
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【生い立ち】
・赤子の頃、母親を病で亡くし
7歳の頃に父親であった皇帝が崩御
その後、皇位継承によって混乱に陥った帝国を
武力と知略を持って掌握した。
・この頃すでに魔法使いとしての才能を開花
させており、10歳の時に十王が覚醒。
・その高い頭脳と才能の犠牲になったのか
情緒面にかなり問題があり、
己自身のことにすら無頓着。
最も付き合いの長い友人(?)の
ラングドールいわく、「ありゃサイコパスだ。」
と言われるほど。
・近しい者から暗殺されかけたことも
一度や二度ではないらしいが、本人は至って
平然としている。
・ただその警戒心の表れなのか、他人が
近くにいる時は絶対に眠らない。
眠る時は十王を発現させ、十王に自分を
守らせながら眠る。
ひどい時は五日ぐらい平気で起きている。
異様なハイテンションになるのでかなり怖い。
・この不眠癖は、後に后となるクラウディアとの
出会いをきっかけに緩和していく。
彼女が近くにいる時のみ、何故か眠くなるらしい
(理由は本人にもよくわからない)
・十王はバルムンクが30歳を迎える頃に消失。
以来、消失前の最後に張られた
【十王の結界】が20年間、帝国を護っている。
この頃、長男のブラムドもまだ生まれて
いなかった為、バルムンクの子供たちは全員、
十王を見た事がない。
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胎動

#VLAD
#皇子と奴隷
ああ
やはり来てしまったのですね
ギリビアの坊や
己の主を救い出す為に
貴方は必ず
ここへやってくると思っていましたよ
しかし なんて美しい姿でしょう
実に良い眼になりました
そうです
それこそが貴方の「正体」です
貴方の主は
貴方の内に宿る『あの影』を封じ込めて
貴方を 闘争の世界から
守ろうとしましたが
その願いに逆らう事こそが
主を救い出す唯一の道になるとは
皮肉なものですね
貴方の『選択』が
貴方の主に どんな結末をもたらすのか
じっくり見せて頂くとしましょう
おやおや
まだわからないのですか
何人立ちはだかろうが無駄ですよ
『迷いのある』 あなた方と
『迷いのない』 彼とでは
まるで勝負になりません
可哀想な兵士たち
皆 死んでしまうのでしょうね
畳む

#VLAD
#皇子と奴隷
ああ
やはり来てしまったのですね
ギリビアの坊や
己の主を救い出す為に
貴方は必ず
ここへやってくると思っていましたよ
しかし なんて美しい姿でしょう
実に良い眼になりました
そうです
それこそが貴方の「正体」です
貴方の主は
貴方の内に宿る『あの影』を封じ込めて
貴方を 闘争の世界から
守ろうとしましたが
その願いに逆らう事こそが
主を救い出す唯一の道になるとは
皮肉なものですね
貴方の『選択』が
貴方の主に どんな結末をもたらすのか
じっくり見せて頂くとしましょう
おやおや
まだわからないのですか
何人立ちはだかろうが無駄ですよ
『迷いのある』 あなた方と
『迷いのない』 彼とでは
まるで勝負になりません
可哀想な兵士たち
皆 死んでしまうのでしょうね
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紅蓮

#KIBITO
誰もがあいつを未熟と言うが、炎術にかけては当世一だ。
いや、歴代の中でもダントツだろう。
あいつがその気になれば、国一つ焼き滅ぼすのに
3日もかからんだろうな。
まぁそんな事態はまず起こらんから、心配するな。
…断言できるさ。
俺の弟子は馬鹿だか、力に溺れる三流ではない。
まず何より、あいつは炎術の使用を極力避けているくらいだ。
制御が効かないからじゃない。
『炎』がどれほど無情に、
冷静に 平等に
全てを飲み込んでいくものなのか、よく知っているからだ。
あいつの過去に何があったかなんて、俺は知らん。
ただ俺が教える前から、そのことだけは深く理解していたよ。
だから、いいか。
グレンだけは、絶対に怒らせるなよ。
怒りに満ちたあいつの姿は
『炎』そのものだ。
畳む

#KIBITO
誰もがあいつを未熟と言うが、炎術にかけては当世一だ。
いや、歴代の中でもダントツだろう。
あいつがその気になれば、国一つ焼き滅ぼすのに
3日もかからんだろうな。
まぁそんな事態はまず起こらんから、心配するな。
…断言できるさ。
俺の弟子は馬鹿だか、力に溺れる三流ではない。
まず何より、あいつは炎術の使用を極力避けているくらいだ。
制御が効かないからじゃない。
『炎』がどれほど無情に、
冷静に 平等に
全てを飲み込んでいくものなのか、よく知っているからだ。
あいつの過去に何があったかなんて、俺は知らん。
ただ俺が教える前から、そのことだけは深く理解していたよ。
だから、いいか。
グレンだけは、絶対に怒らせるなよ。
怒りに満ちたあいつの姿は
『炎』そのものだ。
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惜別

「ヤナギ、なのか?」
ああ、そうだよ。
8341が私に、サヨナラを言う時間をくれたんだ。
モドキガミの特性だろう。
だが安心しろ。
もうすぐ…私の意識は消える。
しかし皮肉なものだ。
とうの昔に”教え”など捨ててしまったというのに
最期の最後にこの姿とは
「・・・・・・・」
心配するな。
私の瘴気は全て、この子に食われて消える。
たいしたものだ。
お前の血がよく馴染んだようだな?
私の知識は全てこの子に渡す。
あとはこの子に訊くといい。
ああ、そうだ。
「おい、何の真似だ?」
私の心剣。形見だよ。
身体が崩壊したせいで出てきたようだ。
受け取ってくれ。
「断る。
俺は『お前達』から打ち出される『それ』が
反吐が出るほど、大嫌いだ。」
知っているさ。
だからこそ使え、お前の復讐のために。
それにな、
今やこんなちっぽけなナマクラだけが
私が世界に存在したという、唯一の証なんだ。
持っていけ。
お前に使われるなら本望だ。
さてと…もう、往くよ。
この子に伝えてくれ。
助けに来てくれて嬉しかった。
ありがとう、と。
左様ならだ、バルムンク。
小さな我が友よ。
お前たちと戦場で出会わなくて
ほんとうによかった。
あのかわいい坊やと、仲良くな。
#王と皇帝
--------------------
・元・ハーディンの騎士、ヤクニ(八9二)
・ブラムド、バルムンク世代より200年ぐらい前の騎士。
畳む

「ヤナギ、なのか?」
ああ、そうだよ。
8341が私に、サヨナラを言う時間をくれたんだ。
モドキガミの特性だろう。
だが安心しろ。
もうすぐ…私の意識は消える。
しかし皮肉なものだ。
とうの昔に”教え”など捨ててしまったというのに
最期の最後にこの姿とは
「・・・・・・・」
心配するな。
私の瘴気は全て、この子に食われて消える。
たいしたものだ。
お前の血がよく馴染んだようだな?
私の知識は全てこの子に渡す。
あとはこの子に訊くといい。
ああ、そうだ。
「おい、何の真似だ?」
私の心剣。形見だよ。
身体が崩壊したせいで出てきたようだ。
受け取ってくれ。
「断る。
俺は『お前達』から打ち出される『それ』が
反吐が出るほど、大嫌いだ。」
知っているさ。
だからこそ使え、お前の復讐のために。
それにな、
今やこんなちっぽけなナマクラだけが
私が世界に存在したという、唯一の証なんだ。
持っていけ。
お前に使われるなら本望だ。
さてと…もう、往くよ。
この子に伝えてくれ。
助けに来てくれて嬉しかった。
ありがとう、と。
左様ならだ、バルムンク。
小さな我が友よ。
お前たちと戦場で出会わなくて
ほんとうによかった。
あのかわいい坊やと、仲良くな。
#王と皇帝
--------------------
・元・ハーディンの騎士、ヤクニ(八9二)
・ブラムド、バルムンク世代より200年ぐらい前の騎士。
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確かに 眼が合った
決して、私に向けられることのなかった
『宵闇』が
私を見ていた
雷鳴

-Side A-
ミハごと、貫いてやろうと思った。
私の、ほんの一瞬の躊躇の隙に
全力で逃走を開始したミハは
すでに、100mほど先の彼方に走り去っている。
速い。
武戦術を行使しているとはいえ、
極限下の緊張の中
幼児一人を抱えてもあれほどの速度を出せるとは。
さすが、あの方が見込んだだけの事はある。
しかし、やはり若い。
速度重視での最短距離を選んだのだろうが、
まさかこんな身を隠すものがない
平野を駆けるとは。
格好の的だ。
手になじんだ愛剣に、魔力を流し込む。
私の意思に呼応して、槍状に刀身を変えた。
一撃だ。
一撃で、即死させてやろう。
大丈夫、外しはしない。
私の放った刃が、ミハエルの背に真っ直ぐと
吸い込まれるように突き立つ軌道を
イメージしながら。
私は、槍を投げるように深く
強く、身体を沈み込ませた。
終わる。
ただそう強く確信しながら
振りかぶった愛剣が、指先を離れかけた
瞬間
心臓が跳ね上がった。
-----------
-Side B-
どこかで、雷鳴が聴こえたような気がした。
その音で、落ちかけた意識を
辛うじて持ち直す。
ここは、どこだろうか…?
一瞬、記憶が混乱しかけたが
視界に入る景色から
西の庭園の中にいくつか点在する
小さな東屋の中にいるのだと、理解できた。
ああ、なんとかここまで逃れられたか。
安堵も束の間、
ハッとして腕の中におさまる
小さな御方の安否を確認した。
幼い双眸は閉じられ、
その白い肌は鮮血で染まっている。
「ブラムドさ…!」
思わず叫びそうになった直後、
すうすうと、穏やかな寝息が耳に届いた。
肌は血に染まっていたが、顔色は悪くない。
脈の確認も行ったが、至って平常である。
どうやらこの血は、私の傷から流れたもの
のみらしい。
「殿下⋯よかった⋯」
今度こそ本当に、安堵の溜息が出た。
あの時。
ブラムド様を抱えて
全力で走り始めた、数秒後。
背後から感じた、猛烈な殺意と気迫に
開けた平野を逃走路に選んだことを
激しく後悔した。
と同時に
自分は死ぬのだ
という事を、はっきりと悟った。
ブラムド様。
だめだ、守り切れない。
自分もろとも貫かれる。
地面に投げ出すか。
いや、この速度のなか腕から放り出せば
幼い殿下はただではすまない。
仮に攻撃を逃れても私が死んだ後に
殺されるだけだ。
転移術…詠唱が間に合わない。
どうする。
どうする…!?
一瞬のような
数分、数秒のような
奇妙な感覚の中で必死に考えを巡らせながら
自分の身体を無意識に
『変化(ヘンゲ)』させていることに気付いた時。
私の肚は決まった。
首。
背骨。
絶命に至るような急所へ魔力を集中させ
防御を固める。
即死を回避するためだ。
『変化』である私の身体は文字通り
変幻自在。
多少四肢がもげようと、
意識さえ保っていればどうとでもなる。
この一撃さえ、耐えることができれば。
あとはどうなってもいい。
とにかく一分一秒でも長く生きながらえ、
なんとしてでも、殿下を逃す⋯!
決意と同時に、炎のようにうねりを上げる
私の『影』に呼応するかのように
背後に迫る刺客の殺気も、一気に膨れ上がった。
そしてついに、
光のような一閃の刃が放たれた。
来る!
まるで磁石に引かれるかの如く、
刃が私の心臓を目掛け、降りてくるのがわかる。
私は、コンマ数秒後に訪れるはずの死神の一撃に
全神経を集中させた。
その時。
私の意識の全てを
雷轟が支配した。
その後は、何も思い出せない。
柱にもたれかかっている、肩から腰にかけて
ひどく熱いという以外に感覚が無く、
あの一撃を食らったもののなんとか即死は
回避できた、という事実だけしか
理解できなかった。
空は相変わらず、青く広く澄み渡っている。
あの轟音は、
刺客の一撃がもたらした衝撃音だったのか。
死線を越えかけた時に聞く、幻だったのか。
わからない。
なにも。
朦朧とする意識の中で
私は右手の無線機から、緊急信号を発し続けたが
治療室で再び意識を取り戻す時まで、
その無線機が壊れていた事に気付くことは
なかった。
後にわかったことだが
あの日 、王宮を含む帝都にいた全ての人間が
その轟音を耳にしており
直後、帝都内の全て術具が機能を停止し、破損。
甚大な被害をもたらしたという。
帝国はこの事件を、
魔導兵器の性能テスト中に起こった爆発事故による衝撃波が原因だったと発表。
この実験に参加していた
兵団の隊員、4名が犠牲になったと報じた。
ブラムド様の暗殺事件は、
事実上、闇に葬られた。
生還した私は
あの日に見聞きしたこと、
その全てを死ぬまで口外するなと
陛下より厳命され、
陛下亡き後も、その命令を忠実に守り続けている。
最も心配していた
暗殺されかけた、ブラムド様ご本人は
まるで、その日など存在しなかったかのように
一切何も、覚えておられなかった。
------------
-------
-----
どこかで、雷鳴が聞こえる。
こんなに澄み渡った蒼天なのに。
⋯⋯。
私は多分、きっと、
心のどこかで期待していたのだ。
もしも、
もしもあの御子様に何があれば、と。
そうすれば⋯⋯⋯。
そんなこと、あるわけないのに。
大義名分を、己の中でいくら正当化しても
根底にあるのは、自分のことだけ。
叶うはずもない、夢想の願いだけ。
結局、揺らがなかったのは「あの人」だけだった。
先に裏切ったのは、私の方だったのだ。
でなければ【アレ】が
あそこにあるはずが、無いのだから。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
なんだか、
ひどく、疲れた。
後悔しないと、決めていた筈なのに。
ああ本当に、本当に滑稽な私。
最初から最期まで道化のようだった。
ごめんなさい、先生。
貴方のような「剣」にはなれなかった。
その資格が無かった。
貴方の名誉を汚した罪は、すぐにけじめを付けます。
だから大丈夫。
何も心配しないでください。
ああ
本当に、良い天気。
日向がとてもあたたかい。
こんな気持ちいい、日向のもとを
あの子と歩いてみたかった。
畳む #王と皇帝
決して、私に向けられることのなかった
『宵闇』が
私を見ていた
雷鳴

-Side A-
ミハごと、貫いてやろうと思った。
私の、ほんの一瞬の躊躇の隙に
全力で逃走を開始したミハは
すでに、100mほど先の彼方に走り去っている。
速い。
武戦術を行使しているとはいえ、
極限下の緊張の中
幼児一人を抱えてもあれほどの速度を出せるとは。
さすが、あの方が見込んだだけの事はある。
しかし、やはり若い。
速度重視での最短距離を選んだのだろうが、
まさかこんな身を隠すものがない
平野を駆けるとは。
格好の的だ。
手になじんだ愛剣に、魔力を流し込む。
私の意思に呼応して、槍状に刀身を変えた。
一撃だ。
一撃で、即死させてやろう。
大丈夫、外しはしない。
私の放った刃が、ミハエルの背に真っ直ぐと
吸い込まれるように突き立つ軌道を
イメージしながら。
私は、槍を投げるように深く
強く、身体を沈み込ませた。
終わる。
ただそう強く確信しながら
振りかぶった愛剣が、指先を離れかけた
瞬間
心臓が跳ね上がった。
-----------
-Side B-
どこかで、雷鳴が聴こえたような気がした。
その音で、落ちかけた意識を
辛うじて持ち直す。
ここは、どこだろうか…?
一瞬、記憶が混乱しかけたが
視界に入る景色から
西の庭園の中にいくつか点在する
小さな東屋の中にいるのだと、理解できた。
ああ、なんとかここまで逃れられたか。
安堵も束の間、
ハッとして腕の中におさまる
小さな御方の安否を確認した。
幼い双眸は閉じられ、
その白い肌は鮮血で染まっている。
「ブラムドさ…!」
思わず叫びそうになった直後、
すうすうと、穏やかな寝息が耳に届いた。
肌は血に染まっていたが、顔色は悪くない。
脈の確認も行ったが、至って平常である。
どうやらこの血は、私の傷から流れたもの
のみらしい。
「殿下⋯よかった⋯」
今度こそ本当に、安堵の溜息が出た。
あの時。
ブラムド様を抱えて
全力で走り始めた、数秒後。
背後から感じた、猛烈な殺意と気迫に
開けた平野を逃走路に選んだことを
激しく後悔した。
と同時に
自分は死ぬのだ
という事を、はっきりと悟った。
ブラムド様。
だめだ、守り切れない。
自分もろとも貫かれる。
地面に投げ出すか。
いや、この速度のなか腕から放り出せば
幼い殿下はただではすまない。
仮に攻撃を逃れても私が死んだ後に
殺されるだけだ。
転移術…詠唱が間に合わない。
どうする。
どうする…!?
一瞬のような
数分、数秒のような
奇妙な感覚の中で必死に考えを巡らせながら
自分の身体を無意識に
『変化(ヘンゲ)』させていることに気付いた時。
私の肚は決まった。
首。
背骨。
絶命に至るような急所へ魔力を集中させ
防御を固める。
即死を回避するためだ。
『変化』である私の身体は文字通り
変幻自在。
多少四肢がもげようと、
意識さえ保っていればどうとでもなる。
この一撃さえ、耐えることができれば。
あとはどうなってもいい。
とにかく一分一秒でも長く生きながらえ、
なんとしてでも、殿下を逃す⋯!
決意と同時に、炎のようにうねりを上げる
私の『影』に呼応するかのように
背後に迫る刺客の殺気も、一気に膨れ上がった。
そしてついに、
光のような一閃の刃が放たれた。
来る!
まるで磁石に引かれるかの如く、
刃が私の心臓を目掛け、降りてくるのがわかる。
私は、コンマ数秒後に訪れるはずの死神の一撃に
全神経を集中させた。
その時。
私の意識の全てを
雷轟が支配した。
その後は、何も思い出せない。
柱にもたれかかっている、肩から腰にかけて
ひどく熱いという以外に感覚が無く、
あの一撃を食らったもののなんとか即死は
回避できた、という事実だけしか
理解できなかった。
空は相変わらず、青く広く澄み渡っている。
あの轟音は、
刺客の一撃がもたらした衝撃音だったのか。
死線を越えかけた時に聞く、幻だったのか。
わからない。
なにも。
朦朧とする意識の中で
私は右手の無線機から、緊急信号を発し続けたが
治療室で再び意識を取り戻す時まで、
その無線機が壊れていた事に気付くことは
なかった。
後にわかったことだが
あの日 、王宮を含む帝都にいた全ての人間が
その轟音を耳にしており
直後、帝都内の全て術具が機能を停止し、破損。
甚大な被害をもたらしたという。
帝国はこの事件を、
魔導兵器の性能テスト中に起こった爆発事故による衝撃波が原因だったと発表。
この実験に参加していた
兵団の隊員、4名が犠牲になったと報じた。
ブラムド様の暗殺事件は、
事実上、闇に葬られた。
生還した私は
あの日に見聞きしたこと、
その全てを死ぬまで口外するなと
陛下より厳命され、
陛下亡き後も、その命令を忠実に守り続けている。
最も心配していた
暗殺されかけた、ブラムド様ご本人は
まるで、その日など存在しなかったかのように
一切何も、覚えておられなかった。
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どこかで、雷鳴が聞こえる。
こんなに澄み渡った蒼天なのに。
⋯⋯。
私は多分、きっと、
心のどこかで期待していたのだ。
もしも、
もしもあの御子様に何があれば、と。
そうすれば⋯⋯⋯。
そんなこと、あるわけないのに。
大義名分を、己の中でいくら正当化しても
根底にあるのは、自分のことだけ。
叶うはずもない、夢想の願いだけ。
結局、揺らがなかったのは「あの人」だけだった。
先に裏切ったのは、私の方だったのだ。
でなければ【アレ】が
あそこにあるはずが、無いのだから。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
なんだか、
ひどく、疲れた。
後悔しないと、決めていた筈なのに。
ああ本当に、本当に滑稽な私。
最初から最期まで道化のようだった。
ごめんなさい、先生。
貴方のような「剣」にはなれなかった。
その資格が無かった。
貴方の名誉を汚した罪は、すぐにけじめを付けます。
だから大丈夫。
何も心配しないでください。
ああ
本当に、良い天気。
日向がとてもあたたかい。
こんな気持ちいい、日向のもとを
あの子と歩いてみたかった。
畳む #王と皇帝


#王と皇帝
ブラムドはそれなり歌うまいのにあまりちゃんと歌わない。
どこで聴いたかのかよく覚えてない歌をいつも適当に歌ってる。