慟哭幼い頃からそうであった殿下は決して泣くことが無い続きを読む母君を見送った朝も父君に銃口を向けられた夜もあの方は決して泣くことは無かった最初から そんなものは 持ち合わせていないかのように あの方の竜眼が 涙で歪むことは無いただあの追憶の黄昏でまばたきひとつせず嗚咽の声ひとつ無く辺りが宵闇に包まれて明けの明星が昇るまでただ「其処」に座していた あの御姿を 私は忘れることが出来ない畳む 2024.11.11(Mon) 22:57:53 くれない,バルムンク
幼い頃からそうであった
殿下は決して泣くことが無い
母君を見送った朝も
父君に銃口を向けられた夜も
あの方は決して泣くことは無かった
最初から そんなものは 持ち合わせていないかのように
あの方の竜眼が 涙で歪むことは無い
ただ
あの追憶の黄昏で
まばたきひとつせず
嗚咽の声ひとつ無く
辺りが宵闇に包まれて
明けの明星が昇るまで
ただ「其処」に座していた あの御姿を
私は忘れることが出来ない
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