No.44, No.43, No.42, No.41, No.40, No.39, No.38[7件]
#掌の記憶

あの大きな手で頭を撫でられるのが好きだった
守られていると安心できて
この手の持ち主と同じように
強くなりたいと勇気が出た
--------------------------
あの小さな頭を撫でるのが好きだった
髪がぐしゃぐしゃになるまで撫でまわすと
小さな弟は いつも
弾けるように笑っていた

あの大きな手で頭を撫でられるのが好きだった
守られていると安心できて
この手の持ち主と同じように
強くなりたいと勇気が出た
--------------------------
あの小さな頭を撫でるのが好きだった
髪がぐしゃぐしゃになるまで撫でまわすと
小さな弟は いつも
弾けるように笑っていた
#掌の記憶

だからお願い
約束して
私がいなくなった後も
兄様を守るって
『約束』を交わした 6日後の朝
彼女は静かに息を引き取った
それから何年 時が経っても
あの日の『指きり』の感触が
未だに私を奮い立たせ
未だに 私の心を引き裂きにくるのだ

だからお願い
約束して
私がいなくなった後も
兄様を守るって
『約束』を交わした 6日後の朝
彼女は静かに息を引き取った
それから何年 時が経っても
あの日の『指きり』の感触が
未だに私を奮い立たせ
未だに 私の心を引き裂きにくるのだ
#掌の記憶

わたしにとって 世界は
怖いことや 悲しいことばかりがやってきて
そんな世界を見たくないから
なるべく 下ばかりを見つめ
歩いていた
顔を覆った 長い髪は
わたしと 世界を隔てるお守り
おそろしいものを遮る 結界
その隙間から見える世界に
なんの光も なかったはずなのに
今は確かに
光が見えた

わたしにとって 世界は
怖いことや 悲しいことばかりがやってきて
そんな世界を見たくないから
なるべく 下ばかりを見つめ
歩いていた
顔を覆った 長い髪は
わたしと 世界を隔てるお守り
おそろしいものを遮る 結界
その隙間から見える世界に
なんの光も なかったはずなのに
今は確かに
光が見えた
#掌の記憶
「ったぁ!あ~、うぅ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

『クラウディア様』
「何でしょうか」
『陛下がああやって
”小さい前習え”をしたまま、
かれこれ5分以上経過しようとしているのですが。』
「そうですねぇ、
未知との遭遇に思いのほか手間取っていますねぇ」
『そろそろ助け舟を出して差し上げてもよろしいでしょうか?』
「駄目ですよ。賭けの約束なんですから」
『しかし、このままでは日が暮れてしまいますが。
また手の角度だけ変えてフリーズしましたし。』
「一体何の入射角を測っているのでしょうねぇ」
「・・・クラウディアさん。」
「はい。
なんでございましょう、陛下?」
「俺が悪かったので許してもらえませんか?」
「ええ勿論ですわ、陛下。
その子を抱っこして頂ければわたくし、全て許します。」
「・・・・・・・・」
『…では私は仕事が残っておりますので、これにて。』
「おい待て見捨てるなマクスウェル。
アル!アルガン!」
「往生際が悪いですよ、”お父様”?
早くしていただけますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
畳む
「ったぁ!あ~、うぅ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

『クラウディア様』
「何でしょうか」
『陛下がああやって
”小さい前習え”をしたまま、
かれこれ5分以上経過しようとしているのですが。』
「そうですねぇ、
未知との遭遇に思いのほか手間取っていますねぇ」
『そろそろ助け舟を出して差し上げてもよろしいでしょうか?』
「駄目ですよ。賭けの約束なんですから」
『しかし、このままでは日が暮れてしまいますが。
また手の角度だけ変えてフリーズしましたし。』
「一体何の入射角を測っているのでしょうねぇ」
「・・・クラウディアさん。」
「はい。
なんでございましょう、陛下?」
「俺が悪かったので許してもらえませんか?」
「ええ勿論ですわ、陛下。
その子を抱っこして頂ければわたくし、全て許します。」
「・・・・・・・・」
『…では私は仕事が残っておりますので、これにて。』
「おい待て見捨てるなマクスウェル。
アル!アルガン!」
「往生際が悪いですよ、”お父様”?
早くしていただけますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
畳む
悪夢と声

- SIDE A -
誰かが ぼくを
狭くて暗い場所へ 押しこめる
ぼくは 出して と叫ぶけれど
誰かは手を 差し伸べてはくれない
ただ ぼくに 何かを言っている
でも ぼくはこわくて
さびしくて
必死に出ようと 腕を伸ばす
最後に 蓋がとじられて
ぼくの世界はまっくらになる
そこでいつも 目が覚めるんだ
- SIDE B -
ああ 神様
ああ なんということだ
なんだ なにがいけなかった
あの娘に
あの娘に何の罪があったというのだ
どうして どうしてなんだ
ああだめだ 考えるな
走れ
とにかく 今は走るんだ
ここだ
たしかここにあったはずだ
古い水路
わたしが子供の頃 よく通った
湖に通じる 枯れた水路が
大人はとても入れない
でも この子だけならきっと
進めるはずだ
ああ かわいそうに
泣かないでおくれ
すまない どうか許してほしい
お前にひどい嘘を言う
----母上はもう先に行った
おまえも早く行きなさい
----湖へ出たら いいかい?
フクロウの像で待つんだ
そこから決して 動いてはいけないよ
----少し遅れるが 私も必ずあとで行く
だから早く行きなさい
わたしは これから死ぬだろう
中央からの助けは
おそらく 間に合わない
もうお前とはお別れだが
どうか
どうか生き延びておくれ
そして 出来る事なら
今日と言う 悪夢のような日を
永久に 忘れ去りなさい
畳む

- SIDE A -
誰かが ぼくを
狭くて暗い場所へ 押しこめる
ぼくは 出して と叫ぶけれど
誰かは手を 差し伸べてはくれない
ただ ぼくに 何かを言っている
でも ぼくはこわくて
さびしくて
必死に出ようと 腕を伸ばす
最後に 蓋がとじられて
ぼくの世界はまっくらになる
そこでいつも 目が覚めるんだ
- SIDE B -
ああ 神様
ああ なんということだ
なんだ なにがいけなかった
あの娘に
あの娘に何の罪があったというのだ
どうして どうしてなんだ
ああだめだ 考えるな
走れ
とにかく 今は走るんだ
ここだ
たしかここにあったはずだ
古い水路
わたしが子供の頃 よく通った
湖に通じる 枯れた水路が
大人はとても入れない
でも この子だけならきっと
進めるはずだ
ああ かわいそうに
泣かないでおくれ
すまない どうか許してほしい
お前にひどい嘘を言う
----母上はもう先に行った
おまえも早く行きなさい
----湖へ出たら いいかい?
フクロウの像で待つんだ
そこから決して 動いてはいけないよ
----少し遅れるが 私も必ずあとで行く
だから早く行きなさい
わたしは これから死ぬだろう
中央からの助けは
おそらく 間に合わない
もうお前とはお別れだが
どうか
どうか生き延びておくれ
そして 出来る事なら
今日と言う 悪夢のような日を
永久に 忘れ去りなさい
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#設定
【咎人 トガビト】

・【呪い】を受けた者の末路の姿。
・咎人は人であった頃の名前を忘れているので、
契約者から便宜上、仮の名前を貰う。
・バルムンクは、
中央に大きな一つ目を持つ咎人を『ヤナギ』
左右に四つずつ目を持つ咎人を『タチバナ』と呼んでいた。
・魔獣を殺すとその血肉に宿った
大量の【妖素】を浴び、【妖素中毒死】する。
これを『呪いで死ぬ=呪死』といわれる。
・しかし、ある【特殊な魔獣】を殺してしまうと
『呪死』では済まされない、強力な呪いにかかることになる。
・【特殊な魔獣】とは、
【魔境】の深部に住む上位魔獣のことで、
【守り人】
【番人】
【狩人】
この上位三席の魔獣種を差す。
・特に【守り人】は、【魔境の主】とも言われ
大魔境の深部に必ず一体ずつ存在し、
魔境内の魔獣全ての長であるといわれている。
・その【守り人】への殺傷は、
ドラグーンにとってもハーディンにとっても
【最大の禁忌】とされ、
【絶対に傷つけてはいけない魔獣】として交戦を禁じている。
・【守り人】を殺害してしまうと、
【守り人】に内包された恐ろしい濃度の妖素が溢れ出し、
新たな魔境がひとつ生まれると言われている。
・さらに、直接【守り人】に手を下した者には、
異形の者に変化してしまうという【呪い】が降りかかる。
そうして異形に変化してしまった者は
【咎人】と呼ばれる。
・【守り人】を殺し、【咎人】となった人間は
おぞましい醜悪な姿へと変貌する。例外は無い。
・眠ることも食べることも必要となくなり、
【呪い】が解かれるその日まで
永久に近い時を生きる運命にある。
・そして【咎人】となった者にとって、最大の苦痛となるのが
人であった頃の知性を、そのまま有し続けることである。
・ 死ぬことも、正気を失うことも出来ない【咎人】は
【呪い】の代償として得た膨大な魔法の知識と魔力を
時の権力者・あるいは優秀な魔法使いたちに提供することによって
【呪い】を解く者が現れるのを待ち続けている。
・【咎人】はその醜悪な姿と、底なしの魔力を有することから
うってつけの戦争兵器であった。
・その為、過去の戦争にも多くの国が【咎人】を投入したが
【咎人】の力を利用するだけで 【呪い】を解く技量無し、
と判断された国は 逆に【咎人】によって滅ぼされた。
・【咎人】と契約出来れば強力な助っ人となるが、
信頼を失えば破滅が待っている。
そのリスクの高さから次第に
【咎人】を使役する魔法使いはいなくなっていった。
・ 近年では、もたらされる災厄の大きさから
【咎人】との契約は国際法で禁止となっている。
・ 【咎人】は、【十王】や【鬼神】の力をもってすれば
殺害できることが実証されている。
しかし、【咎人】が葬られた場は強力な瘴気を残し、
【魔境】へと変貌する。
・【咎人】は、【呪い】から解放されると 瘴気を残すことなく、
光となって消滅する。
・ しかし過去の歴史をさかのぼっても、
【呪い】を解くことに成功した魔法使いはわずかである。
畳む
【咎人 トガビト】


・【呪い】を受けた者の末路の姿。
・咎人は人であった頃の名前を忘れているので、
契約者から便宜上、仮の名前を貰う。
・バルムンクは、
中央に大きな一つ目を持つ咎人を『ヤナギ』
左右に四つずつ目を持つ咎人を『タチバナ』と呼んでいた。
・魔獣を殺すとその血肉に宿った
大量の【妖素】を浴び、【妖素中毒死】する。
これを『呪いで死ぬ=呪死』といわれる。
・しかし、ある【特殊な魔獣】を殺してしまうと
『呪死』では済まされない、強力な呪いにかかることになる。
・【特殊な魔獣】とは、
【魔境】の深部に住む上位魔獣のことで、
【守り人】
【番人】
【狩人】
この上位三席の魔獣種を差す。
・特に【守り人】は、【魔境の主】とも言われ
大魔境の深部に必ず一体ずつ存在し、
魔境内の魔獣全ての長であるといわれている。
・その【守り人】への殺傷は、
ドラグーンにとってもハーディンにとっても
【最大の禁忌】とされ、
【絶対に傷つけてはいけない魔獣】として交戦を禁じている。
・【守り人】を殺害してしまうと、
【守り人】に内包された恐ろしい濃度の妖素が溢れ出し、
新たな魔境がひとつ生まれると言われている。
・さらに、直接【守り人】に手を下した者には、
異形の者に変化してしまうという【呪い】が降りかかる。
そうして異形に変化してしまった者は
【咎人】と呼ばれる。
・【守り人】を殺し、【咎人】となった人間は
おぞましい醜悪な姿へと変貌する。例外は無い。
・眠ることも食べることも必要となくなり、
【呪い】が解かれるその日まで
永久に近い時を生きる運命にある。
・そして【咎人】となった者にとって、最大の苦痛となるのが
人であった頃の知性を、そのまま有し続けることである。
・ 死ぬことも、正気を失うことも出来ない【咎人】は
【呪い】の代償として得た膨大な魔法の知識と魔力を
時の権力者・あるいは優秀な魔法使いたちに提供することによって
【呪い】を解く者が現れるのを待ち続けている。
・【咎人】はその醜悪な姿と、底なしの魔力を有することから
うってつけの戦争兵器であった。
・その為、過去の戦争にも多くの国が【咎人】を投入したが
【咎人】の力を利用するだけで 【呪い】を解く技量無し、
と判断された国は 逆に【咎人】によって滅ぼされた。
・【咎人】と契約出来れば強力な助っ人となるが、
信頼を失えば破滅が待っている。
そのリスクの高さから次第に
【咎人】を使役する魔法使いはいなくなっていった。
・ 近年では、もたらされる災厄の大きさから
【咎人】との契約は国際法で禁止となっている。
・ 【咎人】は、【十王】や【鬼神】の力をもってすれば
殺害できることが実証されている。
しかし、【咎人】が葬られた場は強力な瘴気を残し、
【魔境】へと変貌する。
・【咎人】は、【呪い】から解放されると 瘴気を残すことなく、
光となって消滅する。
・ しかし過去の歴史をさかのぼっても、
【呪い】を解くことに成功した魔法使いはわずかである。
畳む
あたたかい
風も 日差しも
わたしを引き上げる あの人の手も
------------------------------
思い出す様に見る夢
束の間の自由
幸福で
あの時の日差しのような
あたたかな日々
あの日 あの手をとったこと
今でも後悔はしていません
もう二度と戻らない日々だとしても
あの頃のあたたかさが 私を生かしてくれる
もう十分
宝物は もう十分 頂きました
やさしいお父様 お母様
あたたかい 雨のようだったあの子
私の宝物
ありがとう
そして
ごめんなさい
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